本当にあなたのマウスは“もの”がみえているのか
~視機能再生を評価する新規視覚応答解析装置の開発~
薬学部 創薬科学科
准教授 小池 千恵子
研究内容
網膜疾患の解析には、遺伝子改変技術が確立されているマウスが最も有用なモデルであるが、一般的にマウスは「目が悪い」と考えられてきた。したがってマウスを用いた視力測定は、非イメージ応答形成などいわゆる「視覚イメージ」ではなく、光そのものの検出に準じた方法が主流であった。本研究では「マウスがどれだけものが見えているのか」を明らかにするには「イメージ形成応答」を解析する必要があるとする考えから、多様なイメージを提示でき、またマウスがそれを「認知」できているかを解析できる装置を開発した。
報酬供給装置を付属したオペラントチャンバーに光点滅装置を設置し「光刺激・マウスの応答・報酬の供給」を自動で行うプログラムを開発した。さらにマウス挙動解析などを統一的に管理把握するシステムの構築を行った。
モニターとして、高解像度・高周波数のものを使用し、視覚イメージ提示したこと、視力測定のために刺激から一定の距離を保つための透明アクリル板自動制御を組み合わせたこと、マウスの動きと頭部方向を検出できるプログラムを作成したことなどで可能となった。
セールスポイント
高齢者社会において、視力を取り戻すことができるかどうかはQuality of Lifeにおいて最も重要な要素だと言っても過言ではありません。一方で、我々の生活において視力を取り戻すというのは、生活において困難を来さないレベルでものが見えるということであり、イメージを捉えることができる、すなわち「イメージ形成応答」が重要となります。本装置は、遺伝子改変技術が確立されているマウスを対象とした、「イメージ形成応答解析装置」となります。
応用例
・ 網膜変性モデルマウスの視力測定
・ 網膜変性モデルマウスの視力回復測定
特許情報
特願2014-165505